【都道府県警察】
浜松市で自治体警察制度の改革が進んでいた時期、全国的には警察制度の大改革が進行していた。昭和二十九年(一九五四)六月八日に改正警察法が公布され、七月一日に施行された。これは国家地方警察と自治体警察を都道府県警察に一元化するとともに、国家公安委員会、警察庁を頂点とする中央集権化を推し進めたものであった。この背景には、二本立てによる警察制度の非能率・不合理制、警察力の弱体化などがあった。また、自治体警察では財政負担が重荷になっていた。具体的な例として『浜松警察の百年』によると、職務執行上での各種連絡、人事交流、緊急手配、重要事件捜査、選挙違反事件捜査などに齟齬(そご)を来していたとある。また、国家地方警察の本署が自治体警察署の所在地にあり、同じ警察官でも警察権の行使が出来ないこと、同じ市町村に住み、同じ仕事をしていても給与に格差があるなどの問題もあったという。
【静岡県警察】
警察制度の改革で中央集権化されたものの、都道府県単位の地方自治体警察制度となり、不偏不党・公平中正とすべく、県の公安委員会が設けられた。そして静岡県警察本部の下に三十一の警察署が誕生することになった。
改正警察法の施行により、自治体警察の浜松市中央警察署と浜松市東警察署の二署と国家地方警察の東浜名地区警察署、都田村を管轄していた引佐地区警察署が廃止された。