[警察の防犯活動と防犯協会]

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【防犯課 防犯協会】
 戦後の警察制度の特色の一つに、防犯を担当する部署が出来たことが挙げられる。静岡県警察本部では昭和二十九年七月の新警察法施行時に防犯課が誕生したが、『静岡県警察史』下巻によるとその主な仕事は、犯罪の予防、家出人の保護、少年補導、少年犯罪の捜査、麻薬・覚せい剤の取り締まり、質屋・古物商・風俗営業の許可及び取り締まりなど十一項目であった。浜松中央警察署には刑事係の中に防犯の仕事が含まれていた。浜松には戦後間もなく防犯協会が組織され、警察と市、民間が一体となって活動を続けてきた。選挙に際しては選挙防犯相談所を開設したり、浜松まつりや農繁期の防犯活動など、様々な取り組みがなされた。新しい警察制度の誕生を機に浜松中央警察署管内では市民が中心となって浜松中央地区防犯協会連合会が結成された。この会の主旨は犯罪の防止・治安維持・民生の安定で浜松中央警察署管内(浜松市のうち中央署管内、浜名郡可美村、浜名郡雄踏町)の全自治会が加入した。具体的な活動としては防犯標語やポスターの募集と展示、防犯映画会の開催など防犯思想の普及と宣伝や防犯灯などの防犯施設の拡充強化、青少年の不良化防止や街頭での補導などがあった。
 
【防犯連絡所】
 浜松東警察署管内の各部落には百八十五カ所の防犯連絡所が設置された。この連絡所は主として電話のある家や警ら立寄所に置かれており、連絡所に決められた家の主人が防犯連絡員となるのである。そして受け持ちの警察官の相談相手として、また、警察官へ助言をしたり、犯罪に対してはアンテナとなる役割をも持った。昭和三十二年六月二十三日付の『静岡新聞』に浜松東警察署の防犯連絡所の活動ぶりが詳しく紹介され、空き巣、恐喝、押し売りの撃退に成果を挙げているという。東署の署長は「無報酬にもかかわらず実によくやつてくれて、警察でも頼りにしています。当方としても機会あるごとに防犯座談会を開き、防犯意識の高揚につとめているが部落によつては青年が主となつて防犯団を組織し、青少年の環境浄化にまで発展しているところもある。」と話しており、その成果を強調している。