[産業教育とコース制]

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【産業教育振興法】
 先述のように産業教育振興法が昭和二十六年に成立し、この法律によって工業・商業・農業などの実業高校の施設や設備が一段と充実することになった。産業教育振興法成立以前の浜松工業高等学校の電気科では年間の実習予算は微々たるもので、実験実習器具も手作りという状態であった。法律と施行令の公布以降、直流電動機・発電機など多くの設備や施設が出来て、産業教育は一段と充実していった。
 昭和三十一年になると高校の教育課程が大幅に変わり、これまでの単位制、自由選択制をやめてコース選択制に改めた。これは三十一年度の入学生から適用されたが、多くの学校では一年生には全員同じ教育課程で授業を受けさせた。その間に生徒の特徴、得意、将来の希望を考慮させて、二年生から進学と就職のコースに分けて授業をするというものであった。これは各学校が文部省の例示する類型を参考に決めるもので、浜松西高等学校の場合は次のようになった。進学コースは、Aコース(官立大学文科志望)、Bコース(私立大学文科志望)、Cコース(理科系大学志望)の三つで、就職コースはDコース(数学が不得手で英語を好む者)、Eコース(英語が不得手で数学を好む者)、Fコース(事情によっては進学に転じ得られるコース、就職者中優秀者が選ぶ)の三つであった。