昭和三十三年十月十四日付の新聞『浜松民報』によれば、曹洞宗高松山西来院の本堂完成が報じられている。戦災で焼失した寺院は三十年代になって復興されるが、西来院本堂もその一つである。
図3-36 西来院本堂
【杉本朝次】
先の泉松山法林寺の本堂が観心寺金堂という伝統的な様式美を踏襲した木造建築であるのに対して、西来院本堂の鉄筋コンクリート建築のファサードは、伝統的建築様式を超越した清新さを放っている。設計は浜松出身の杉本朝次で、仏教の教化活動とともに文化活動の拠点たるべく、その思想を籠(こ)めたものという。