[松菱増築と県下最初のエスカレーター]

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【松菱 エスカレーター】
 棒屋百貨店の廃業で浜松唯一の百貨店となった松菱は、昭和三十一年十一月に大増築が完成、県下で初のエスカレーターを一階から三階まで(二基)取り付けた。『遠州新聞』昭和三十一年十一月二十六日付では次のように報じている。
 
  県下にはじめてのエスカレーターが浜松の松菱デパートに出来上り二十五日から動き出した、休日、好天とあって郡部からの人出はかなりあり初めて乗る物珍しさに終日大賑いをみせたが、それだけに珍談もあり係りのガールも転手古舞い、子供を背負ったご婦人が足をすべらして転倒したり、一人で五、六回も乗る子供があるほか、「これは危い」と見ただけで帰るご婦人、駄々をこねる幼児などが見受けられて話題をまいた初日の運転風景だった、なおこれは一基千二百万円という
 
 松菱は、木造事務館及び煉瓦造り倉庫を撤去した跡と本館南側の隣接地を購入し、地下一階、地上八階で、本館の八割に近い延べ面積五千四百七十八平方メートルを増築した。この増築は市民の消費水準の向上と、近い将来百貨店規制法案の成立を見越した上での設備投資であった。

図3-38 増築された松菱