本田技研工業浜松製作所葵工場

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【ベンリイ号 汎用エンジン 耕うん機】
 昭和二十八年工場建設に着手し、翌二十九年四月十日完成し、アメリカ、ドイツ、スイスで買い付けた輸入工作機械が搬入された。この工場は本田技研工業浜松製作所葵工場と呼ばれた。この工場ではベンリイ号の生産が予定されていた。ベンリイ号は、庶民の足として人気を集めたカブ号とは異なり、4サイクル、89cc、3.8馬力、三段変速のエンジンを搭載した本格的なオートバイ(法規上は原動機付自転車)として開発された。当初ベンリイ号はエンジンを浜松で、車体を埼玉で生産していたが、浜松製作所葵工場の完成とともに、浜松で完成車を一貫生産することになり、ベンリイ号関係の生産ラインが確立した。本田の浜松製作所ではベンリイ号のほかに、主として農機具用の汎用エンジンを数多くつくった。これがさらに発展し、昭和三十四年からは耕うん機を生産するようになるのである。これに伴い浜松製作所葵工場の周辺には下請企業や部品メーカーが集積し、葵町・高丘町など高台地区の工業化が急速に進んでいった。