[湖面(浜名湖)漁業の実態]

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 浜名湖は湖沼であるものの、漁業法上は一つの独立した海面と見なされ、共同漁業権一件と十七件の区画漁業権が昭和二十六年九月一日に設定された。共同漁業権一件は代表者村櫛村漁業協同組合外十五組合共有で、ここには篠原村・伊佐見村・和地村・北庄内村・北庄内村湖東・南庄内村・舞阪町・雄踏町・新居町などの各漁業協同組合が入っていた。許可漁業としては、囲目網漁業、小型まき網漁業、めっこ網漁業があり、さらに、特別許可漁業としてシラス鰻漁業と稚鮎の採捕があった。
 昭和二十九年当時の浜名湖岸十六漁業協同組合所属の漁船総数は、動力船三百四十一隻、無動力船二千九百六十五隻で、圧倒的に櫓や竿を用いる無動力船が多かった。無動力船のほとんどは一トン前後の小型船で採藻漁業、袋網漁業、ウナギ筒、ノリ・カキ養殖など湖面で行われる漁業全般で使用されていた。
 
【袋網 囲目網 刺網 ウナギ筒】
 浜名湖は外海から独立した海区であるため特色のある漁法が引き継がれ、袋網、囲目網、刺網、ウナギ筒などによる漁業が行われている。袋網はエビ、タイ、カニ、ウナギなどを漁獲する漁法で、百八十メートルの道網の両端に九メートルの魚捕り袋網が三本ずつ付いており、夕方張り立て翌朝取り上げるというものである。囲目網は俗に角(かくめ)目と言われ、魚を網で囲い込み、その周辺に竹簀を水平に張り網を絞るにつれて水中から跳ねて竹簀に落ちたボラを漁獲するという漁法である。はえまわし網(刺網)とは小さい編目の網の周りに編目の大きい網を重ねてあり、網に当たった魚は内側の小目の網と大目の網を抜けて、外側に出来る袋に落ち込むという仕掛けになっており、タイやサヨリを漁獲する漁法である。ウナギ筒は内径三~四センチの竹を五十~八十センチ位に切って節を抜き、この竹筒の束を湖底に置き、竹筒の中にウナギを入り込ませるという漁法である。タキヤ漁は夜間に火を焚いて魚を集め、銛(もり)で魚を突いたり、網ですくいとる漁法である。
 昭和二十九年当時の漁獲高は、袋網漁業が全体の二十九%を占め、続いてカキ養殖十八・一%、ノリ養殖十一%、船曳網漁業七・一%、ウナギ筒漁業四・七%の順になっている。