東海道本線は全線が電化されたとはいえ、電車が走らない区間もあった。浜松―豊橋間もその一つで、東京─浜松間、名古屋─豊橋間については電車運転が行われていたが、同区間には一本の電車も通じていなかった。この区間については、運行回数が極めて少なかったこともあり、昭和三十年七月に豊橋─大垣間の電車運転が開始されると、その浜松乗り入れという形で実現しようという声が高まった。この計画は、ようやく三十二年に入って具体化し、同年四月一日のダイヤ改正から名古屋─浜松間と大垣─浜松間の二往復の湘南電車を運転することになった。
【ホームの嵩上工事】
このため、総工費二千万円で浜松─豊橋間の各駅ではホームを電車に合わせて三十センチ前後高くする工事が行われた。この時の浜松駅の様子を『静岡新聞』(昭和三十二年三月十一日付)は、「上下線を(と)も同時に始められているので、朝夕のラッシュ時には駅の混雑は大変なもの。…お客さんのいない時を見計つて工事を進めなければならないので関係者は苦心している。」と報じている。
表3-25 天竜川・浜松・高塚・舞阪各駅の乗車人員数の推移
単位(人)
出典:『鉄道統計年報』第1編運輸 鉄道各駅旅客発着通過人員表より作成
単位(人)
年度 | 天竜川駅 | 浜松駅 | 高塚駅 | 舞阪駅 |
25年 | 876,889 | 7,321,531 | 1,062,398 | 844,499 |
26年 | 865,837 | 7,952,664 | 1,055,266 | 852,567 |
27年 | 792,488 | 8,177,619 | 945,203 | 864,699 |
28年 | 786,337 | 8,272,299 | 923,666 | 925,097 |
29年 | 736,276 | 8,227,969 | 862,882 | 870,821 |
30年 | 707,504 | 8,481,508 | 772,274 | 845,697 |
31年 | 742,706 | 8,996,974 | 821,896 | 884,912 |
図3-41 浜松駅の貨物発着トン数(年度別)
浜松駅 貨物取扱実績による。
出典:『浜松市総合調査報告書』