二俣電車線の駅名変更と駅舎改築等については、表3-26の通り昭和二十六年から取り組まれた。また、車両の大型化や連結車両の増加のためのホーム延長や嵩(かさ)上工事も各駅で行われた。これら施設増強の総決算として、三十三年六月一日には遠鉄浜松駅を完成させ、営業を開始した。同駅は、それまで百メートル以上離れていた二俣電車線遠州浜松駅と奥山線の起点である東田町駅を統合したもので、これにより両線を同駅のホームで挟む形で接続し、乗り換えが大変便利になった。
【遠鉄浜松駅】
遠鉄浜松駅は、当初の構想では地上八階建て、第一期工事として地下一階、地上三階分を建設、その二階と三階には百貨店が入る予定だった。結果的に、地下一階、地上二階建て(一部三階)の鉄筋コンクリート造りの建物となった。『静岡新聞』(昭和三十三年六月二日付)によれば、地階は電気機械室、一階が駅待合室のほか観光案内所、食堂、売店など、二階は遠鉄商事経営の食堂、三階は事務室であった。
また、電車とバスの連絡を良くし、国鉄浜松駅前のバスの混雑を緩和するため、懸案であった遠鉄浜松駅前の路線バスの始発としての利用が同年十一月八日から開始された。
図3-47 交通の拠点・遠鉄浜松駅