遠鉄バスは、休止路線の復活と新路線の開拓に懸命の努力を払い、昭和二十七年度には路線キロ四百八十五・三キロメートル、走行キロ三百六十七万キロメートル、輸送人員千五十三万人、休止路線キロをゼロとした。浜松市・磐田市・二俣町・気賀町・掛塚町・新居町といった商工業中心地から放射状にバス路線が拡大された(遠鉄バスの路線図については『新編史料編五』 口絵14・六交通 史料55を参照)。こうしたバス路線拡大を可能にしたのは、浜松市をはじめとする中心市町とその周辺における急激な人口の膨張であった。こうして、遠鉄バスは、三十四年度には、路線キロ七百七十三・七キロメートル、走行キロ千二百七十八万キロメートル、輸送人員は三千九百八十二万人に達した。
営業成績の面では表3-27に示すように好成績を上げた。それは市営バスと対照的であった。遠鉄のバス事業は、道路の拡幅・舗装や車両性能の向上により、さらに拡大され、鉄道に代わって同社の営業の主体へと成長していった。
図3-50 遠鉄バスと市営バスの走行キロ・輸送人員の推移
出典:『えんてつ』創立30周年記念特集号、『浜松市営バス記念誌』より作成
表3-27 遠鉄バスと市営バスの営業成績の比較
出典:『遠州鉄道40年史』、『浜松市営バス記念誌』より作成
注:市営バスの収入欄には自動車収入、雑費・手数料等を含む。
昭和26年度 | 昭和30年度 | 昭和35年度 | ||||
遠鉄バス | 市営バス | 遠鉄バス | 市営バス | 遠鉄バス | 市営バス | |
輸送人員(千人) | 9,246 | 3,488 | 22,610 | 10,505 | 45,452 | 17,706 |
走行粁(千km) | 3,253 | 655 | 7,365 | 1,694 | 14,004 | 2,866 |
収 入(千円) | 162,942 | 35,192 | 404,855 | 106,202 | 788,946 | 214,507 |
支 出(千円) | 142,882 | 36,233 | 349,489 | 101,753 | 722,301 | 218,886 |
差引益金(千円) | 20,060 | -1,040 | 55,366 | 4,449 | 66,645 | -4,378 |
注:市営バスの収入欄には自動車収入、雑費・手数料等を含む。