既述のような規制緩和を受けて、昭和二十九年八月に遠鉄バスは事業区域を「静岡県一円」と指定され、静岡県からどの地域へも輸送可能となった。佐久間ダムの貸切バス事業の基礎を確立した影響は大きく、その後は走行キロ、輸送人員ともに急速な増加をみせた。二十九年の走行キロ七十九万キロメートル、輸送人員三十七万人から、三十四年には走行キロ百九十六万キロメートル、輸送人員百四万人へと増加した。
【浜松観光自動車】
貸切バス事業の拡大に対応して、昭和三十四年度には五十三両の大型バスを購入したほか、ガイドの育成にも力を入れ、観光部門の強化に努めた。また、新たな観光事業立ち上げの動きに対処するため、二十九年十二月には浜松観光自動車株式会社を設立、三十年二月に開業した。