昭和三十年ころから高度成長の波に乗ってタクシー業界も業績を向上させた。また、利用者の増加に対応して増車が図られるとともに、市内の各所や浜松市に編入された旧町村に営業所が開設されるようになった。遠州タクシーの場合には、昭和三十二年に入野、同三十三年に高林、旭町、遠鉄浜松駅構内、伊場、助信に各営業所を開設、また、国鉄浜松駅構内でも営業を開始した。同三十四年には遠鉄元城駅構内にも営業所を開設し、同年末には保有車両は五十台に達した。
【営業所の設置陳情】
なお、企業や工場が集中した地域では、営業所の設置を陳情するという事態も見られるようになった。昭和三十三年九月には、浜名郡可美村村長、同村高塚にある鈴木自動車工業、遠州織機両社社長の連名で、「随時交通の便を提供出来るハイヤー業者が存在せず、村民及東西の来訪者に不便を与へ、当村の発展を阻害」(『新編史料編五』 六交通 史料60)しているとして、高塚駅及び同付近への光タクシー営業所を早急に認可するよう関係当局へ陳情した。