[共電式の限界と自動化]

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 当時、浜松市をはじめ県内の主要各電話局はいずれも共電式であり、交換手によって手動で電話交換が行われていた。既述のように局内設備拡大の余地はすでに無くなり、新規の電話増設やサービスの維持は困難になっていた。特に浜松市は、電話加入者数で県下第一位、手動式交換局としても全国有数の大局であった。昭和二十九年度末には、電話加入者と積滞(開通待ち)数が、それぞれ七千七百八十、二千六百十七という状態であった。
 
【ダイヤル即時通話 新局舎の完成】
 このため、電話自動化(ダイヤル即時通話)と新たな局舎建設に対する要望が強まり、浜松市は、新局舎建設の地元協力費として一億円相当の公社債を引き受けることになった。一方、昭和三十年八月二十九日には商工会議所が中心となって浜松電話自動化促進協議会を結成し、電話自動化実現の運動母体とした。促進活動の結果、三十一年七月に総工費十四億円で新局舎(板屋町三百七十一の四)の建設着工の運びとなり、翌年十一月に完成した。こうして昭和三十二年十二月一日午前零時から市民待望のダイヤル即時通話が開始された。これにより、市内の電話は二局体制となり、従来からの加入者は②局に、新規の加入者や自動化によって番号が変わる加入者は③局となった。そして、三十二年度中に新たに千九百七十本の開通が可能になったと報じられた。また、浜松電話局は、翌年五月に天気予報サービス、六月には時報サービスを開始した。
 ところで、浜松市に合併した町村は、しばらくの間、従来通り不便な市外通話を余儀なくされていた。これらの地域については、昭和三十三年九月一日から笠井、中野町、市野などを皮切りに、順次、各郵便局にある市外交換台を浜松電話局に統合、即時通話を可能とした。
 
表3-31 浜松の電話加入者数
年度用     途公衆電話
事務用住宅用その他計
昭和29年7,3962487,74481
  30 7,4632937,862104
  31 7,4783017,887115
  32 9,41855510,084122
  33 9,69257610,387126
  34 11,63091412,652181
出典:『浜松市統計書』No.23より作成