[X線検診車の巡回診断]

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 レントゲン検診車(X線車・レントゲン車)を活用する例は第六回全国労働衛生週間(昭和三十年十月一日開始)でも見られ、浜松労働基準監督署では浜松保健所の協力を得て、阿賀労働問題研究所の巡回レントゲン車を借り、管内全事業所の従業員の健康診断がなされた(『静岡新聞』昭和三十年八月三十一日付)。
 昭和二十九年六月の時点で、横型、断層レントゲン撮影機は、浜松には「日赤、遠州病院にあるだけ」であったが、浜松保健所に「横型、断層レントゲン撮影機が県下保健所第一号」として購入され、従来の平面撮影に対する立体的な病状把握が可能になったと『静岡新聞』(昭和二十九年六月十七日付)は報じている。
 
【レントゲン撮影 X線検診車】
従来、市民に対する健康診断のレントゲン撮影は、郊外地区は市が浜松社会保険病院のレントゲン車を借用して行い、市中心部では病院などに出向いて行っていた(『静岡新聞』昭和三十二年七月二十日付)。こうした状況下で、『広報はままつ』(昭和三十二年七月五日号)に初めて市衛生課が購入したX線検診車の記事が登場する。「学童を結核から守るため」にツベルクリン反応、BCGの予防接種を行い、間接撮影や精密検査、また要注意者には個別の療養指導をしてきた。しかし、レントゲンの間接撮影該当者が多く、市立病院のX線機械のみでは対応しきれないため、衛生課がX線検診車を購入し、各学校にX線車による出張検診を行うこととしたという。さらに法律の一部改正もあって一般市民の健康診断にも対応する計画を述べている。なお、『広報はままつ』昭和三十二年九月二十日号には「X線車が大活躍 各地区共診断予定人員超ゆ」という大見出しとともに、実施地区の受診率の記事と「一家そろって健康診断」の横断幕と「活躍中のレントゲン車」の写真が掲載されている。
 翌三十三年八月二十日号では市民健康診断を積極的に広報している(『新編史料編五』 口絵参照)。この際、「集団レントゲン撮影から結核治療指導まで、すべての費用は無料」であることを言い、市内各町に出張する月割りの健康診断実施予定を記載している。右の八月二十五日から行っている市民の結核予防診断について、その好評であることの理由を八月三十日付『静岡新聞』では、市の広報活動が徹底したことと女性の関心の高さをあげている。翌三十四年九月二十一日号では「結核を追放しよう 六軒に一人ある病人」というショッキングな標題で巡回するX線車での受診を勧め、昭和三十六年六月五日号では「一般家庭を対象に実施」するツベルクリン反応検査とBCG予防接種日程を発表している。