[『静岡展望』と『東海展望』]

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【久保田穣 神谷昌志】
 昭和二十九年九月一日、総合誌『静岡展望』が発行された。約二年前に創刊された『自治タイムス』が誌名を変えて発行されることになったものである。編集発行人は久保田穣。浜松市長岩崎豊の「巻頭言」は、個人的な感情が正直に述べられていて面白く、末尾に「浜松から巣立つたこの静岡展望が文字通り、県下を展望する一大綜合誌に発展する事をお祈りする。」とある。久保田の「編集後記」は、幾多の困難をくぐって地方誌を続けてきた者のしたたかな根性を感じさせる文章で、当誌が「巾の広い綜合雑誌」を目指したことを伝えている。誌名は間もなく『東海展望』に改められ、昭和六十二年まで続く浜松で有名な雑誌となった。政治的には保守的な面があったが、地方自治や経済面で独自な記事を掲載した。最も特色があったのは、神谷昌志が担当した歴史的な記事であり、多くの史実が解明されていった。