【簡易水道】
簡易水道は上水道が来ていない地区などで百一人以上五千人以下に給水する水道事業で、住民が組合をつくって行うものである。浜松市の周辺では天竜川の河床低下によって井戸水が枯れたり、塩水化が進んでくるなど、水事情が悪化してきた。これを受けて昭和三十三年(一九五八)度までは三十三カ所に過ぎなかったものが、同三十五年八月には八十三組合、四千七百六十六戸、二万五千二百三十七人に給水するまでになった。これらの簡易水道組合は個々の運営だけに終始していたため、施設、消毒など保健・衛生上に不行き届きの面が多く、このまま放置すると伝染病予防上好ましくなくなってきた。市の指導により、同三十五年十月二十七日に浜松簡易水道協議会(設立当初九十四組合加入)が創立され、浜松市衛生課が保健衛生管理の指導や運営面での指示を与えることにした。簡易水道の普及はその後も各地に及び、同四十一年には三方原簡易水道組合(二百五十七戸、千二百八十人)の施設の落成式が行われた。ただ、昭和四十年代半ば以降は、水質の悪化、塩水化、渇水などで次第に上水道への切り替えが始まっていった。