【公害対策審議会 馬込川】
昭和四十七年五月三十一日に施行された悪臭防止法には、悪臭の主要原因で濃度測定が可能なアンモニアなど五物質の濃度と六段階の臭気強度(無臭が0、強烈な臭いが5)が決められていたが、県は浜松・静岡など八市を第一次指定地域とし、各市へ悪臭規制区域の設定と規制基準案の策定を求めていた。これを受けて浜松市公害対策審議会は同年十一月七日に悪臭防止法の規制基準と地域指定、馬込川水域の環境基準類型指定について審議し、平山市長に答申した。この答申では、県の基準原案で最も厳しいA基準を適用することとしたが、これは市内で畜産による悪臭の苦情が年々増加していたからである。A基準では、悪臭物質となっているアンモニアが一PPM、メチルメルカブタンが〇・〇〇二PPM、硫化水素が〇・〇二PPM、硫化メチルが〇・〇一PPM、トリメチルアミンが〇・〇〇五PPMで、臭気強度は〝何の臭いであるかわかる〟の二と〝楽に感知出来る臭い〟の三の間の二・五とした。また、規制指定地域は、悪臭が大気拡散されるため市内全域とすることを決めた。浜松市内には、同四十七年当時養鶏農家が二千八百六十八戸、養豚農家が八百五十戸もあったが、規制の強化で公害防止施設の設置が強制されると経営に大きな打撃となるため、答申では農家への財政援助をすべきとの意見が盛り込まれた。
一方、馬込川の水質基準は、利水状況や水質などを勘案して馬込川に架かる茄子橋より上流の類型基準はC基準(コイ・フナが住める状態)、茄子橋より下流と同水系である芳川をD基準(農業用水に利用できる状態)とすることを決めた。