【北口駅前広場 バスターミナル 南口駅前広場】
これまでの浜松駅の駅前広場は極めて狭隘(きょうあい)で、バスの発着場がその大部分を占めていた。交通の混雑、事故の発生、防災、美観の観点から一刻も早い拡張が望まれていた。昭和四十一年十月に完成した浜松駅前ビルの竣工などにより、北口の面積は四千四百平方メートルとなった。特に浜松駅前ビルは地下二階、地上八階の巨大なビルで、三菱信託銀行や河合楽器製作所の音楽教室などが入り、地下は「味の一番街」となった。これまでのバラックづくりの多くの商店が一掃されて、その一部が同ビルや隣接の共同ビルに入ったため、北口の駅前広場は面目を一新した。その後、東海道本線の高架化事業の決定により、新たに浜松駅周辺土地区画整理事業が実施されることになり、昭和四十六年には面積をこれまでの約四・二倍の一万四千八百平方メートルに拡張することとなった。また、さらに十六角形のバスターミナル、タクシープール、送迎車乗降場などを造るために面積が一万八千九百平方メートルに変更となり、昭和五十七年十一月一日にその中心となるバスターミナルが供用を開始、これにより浜松駅の北口は五十万都市・浜松にふさわしい玄関となった。一方、南口の駅前広場の造成は多くの民家の移転が必要になったためにやや遅れたが、一時は北口の面積を上回る六千七百平方メートルの広場の舗装が同四十一年暮れまでに完成した。この広場に浜松のシンボルとなる華麗な噴水をつくる動きが地元民の間から起こり、地元民の寄付六百万円と市費六百万円、計千二百万円を投じて昭和四十四年十二月十五日に完工、ステンレスやブロンズ製の造形体六体と七通りに変化する噴水であった。夜間は四色の照明で彩り、南口の駅前を飾った。