【浜松市開発公社】
財団法人の浜松市開発公社は土地造成のための公益法人で、この設立の背景には工場誘致に付きまとう不当な地価のつり上げ防止や宅地の造成を自主的に行いたいということなどがあった。造成する用地の用途は工場誘致に備える大工業用地、公害問題の解決や市中の工場の集団化を促進するための中小工場団地、さらには道路、住宅、都市改造事業などに対処するための公共用地などであった。資金計画は浜松市が一千万円を寄付、ほかは金融機関からの融資を充てることにした。浜松市開発公社は昭和三十五年十一月に市議会で承認を受け、同年十二月に発足した。昭和三十六年度は一億円限度の事業資金を基に、中小企業団地、住宅団地、工業用地などの買収、造成に取り掛かった。設立十周年を迎えた昭和四十五年度末で、これまでに取得した面積は約二百八十四万三千平方メートル、分譲は約百八十五万八千平方メートルに及び、主な住宅団地は鷺の宮・有玉・湖東・瞳ケ丘など、また、多くの工場用地、浜松日体高校、浜松湖東高校などの学校用地、流通業務センターなどの用地も取得した。
【浜松市建設公社 浜松市土地開発公社】
昭和四十七年(一九七二)に公有地の拡大の推進に関する法律が施行されると浜松市は同法に基づき、同四十八年四月一日にこれまでの浜松市開発公社を浜松市建設公社とし、新たに浜松市土地開発公社を発足させた。この土地開発公社の初仕事が堀留運河の買収であった。明治四年に開かれた運河は東海道本線の開通後はほとんど使用されなくなり、排水路となっていたが、運河敷地そのものは浜松堀留合資会社の所有地であった。私有地に公共排水路が存在し、巨額の借用料を支払ってきたことなどを勘案して、昭和四十八年に買収したのであった。