昭和二十三年自治体消防として発足した浜松市消防署は、その後、市内の各所に派出所を設置し、体制を整えていった。図2―14は昭和三十六年度の浜松市消防署の組織を示したものである。図に見える北寺島分遣所は、東海道本線によって市中央部と分断された南部の消防力を増強するため設置された(『浜松消防のあゆみ』)。派出所の設置はその後も続き、昭和三十八年五月一日には馬郡町に篠原派出所が設けられた。これは篠原村の浜松市への合併による。翌三十九年五月六日高林町に北部派出所が新設された。これは交通渋滞と北部方面の発展を考慮していた。翌四十年七月一日相生町に東部消防署が誕生した。ここに浜松市は県下で初めて二署制を敷いた。市の発展に伴い常備消防力の強化が市政の課題であった。東部消防署は旧東部派出所で、その建物を増築したものであった。この消防署の管轄は、ほぼ馬込川から東で、面積は八十一平方キロメートル、人口は約十万人であった。東部署区域には、和田地区や長上地区で急激に都市化した地域があり、人口は全市の四分一なのに、火災は件数・損害とも三分一以上を占めた。東部消防署は管下に和田・笠井の二派出所を持った(『新編史料編六』 二自衛隊 史料30)。
【中消防署】
東部消防署創設により、従来の消防署は中消防署と改称された。昭和四十二年七月一日、庄内村合併により浜松市中消防署庄内派出所が、翌四十三年五月十一日に東部消防署芳川派出所が、翌四十四年五月七日には東部消防署積志派出所がそれぞれ新設された。このように常備消防力の強化が進められ、昭和四十五年には一本部・二消防署・十二派出所・職員三百三十四名、消防車両三十八台の体制となった(『浜松消防のあゆみ』)。
図2-14 昭和36年度の消防署と派出所、分遣所