[新しい消防庁舎の完成]

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【浜松市消防庁舎】
 昭和四十四年(一九六九)十二月二十四日浜松市消防庁舎の起工式が移転先の下池川町で挙行された(落成は翌年九月二十八日)。それまでの消防庁舎は、昭和三十年に建設された市役所内(元城町)に設けられ、そこに市消防本部、中消防署が入っていたので、手狭であった。車庫にははしご車や排煙車等特殊車は収容できず、それぞれ鴨江派出所や北部派出所に配置されていた。そのため、新庁舎の建設が待たれていた。
 新庁舎は地上四階地下一階の鉄筋コンクリート建て、総面積は付属建物と合わせて二千三十五平方メートルで、一階は消防車庫、署員仮眠室、二階に中消防署事務室、指令室、通信機械室など、三階は市消防本部、四階は講堂、消防団の本部、資料室などであった。新庁舎の特色は、救急指令センターと県下初のテレビカメラ監視装置である。特に後者は、従来市庁舎の高さ四十メートルの望楼で署員が一時間交替で監視を続けていたのを、望楼に設置したテレビカメラが市内を監視し、新庁舎の指令室にあるテレビに映し出される仕組みになっている。煙等が上がればリモコン操作でカメラ位置を停止させ、ズームを使ってはっきり映し出すこともでき、二十四時間中二人の職員がテレビと向き合い監視を続けることになった。このように指令室に居ながら火災の状況がつかめるため、消防車や消防士の出動態勢が速やかに出来ることも大きな特徴であった(『静岡新聞』昭和四十四年十二月二十五日付、同四十六年十二月八日付、『新編史料編六』 二自衛隊 史料33)。
 この監視システムも、その後のビルの建設ラッシュ等により次第に視野が狭められるなどの理由から、昭和四十六年十二月七日中消防署高台派出所に監視テレビ装置を設置し、本部の監視をカバーすることにした。この装置は同派出所裏に高さ三十メートルの塔を建設し、その上にテレビカメラを備え付けた。これにより四キロ周辺は、はっきりした映像が見られ、天気さえ良ければ八~九キロメートル離れた市最北部の都田地区まで映し出すことが出来た(『静岡新聞』昭和四十六年十二月八日付)。