青年学級については『浜松市史』四で触れたが、その後は地域にあった様々な学級が誕生した。表2―13は昭和三十八年度の青年学級の開設状況を示したものであるが、商業・工業を除いて多くが郊外の中学校などで開講された。北星青年学級では全国的にも珍しい農機具一般、織物が盛んな入野には織物工業や織機、みかん栽培の盛んな都田では柑橘栽培などを学ぶことが出来た。中心部では商業青年学級が、中小の工場の多い東部地区には工業青年学級が誕生した。初めての工業青年学級は昭和三十六年に機械金属工業に働く勤労青少年のために工業技術と一般教養を高める目的で開設され、開催期間は九カ月、一般教養は三十時間、専門教育は百五十時間であった。この工業青年学級は昭和三十九年度からは工業青年学校と改称、『広報はままつ』は「働く青少年よきたれ! 新たに工業青年学校を開設 無料で一年間の技術教育」との見出しで大きく報道した。以前の工業青年学級に比べて毎週火・木の午後六時から九時と毎月日曜日一回で、一年間三百時間に増えた。開設科目は機械技術科、電気技術科、自動車技術科の三科目で定員は各六十名、場所は中心部の中部中学校となった。昭和三十八年度の市内の中学生の高校進学率は約六十%、経済的な理由などにより高校に進学できなかった青少年のために技術教育がなされ、多くの技能者が養成されたことは工業都市浜松にとって有意義であった。また、農業や商業などの青年学級や企業でも青年学級をつくる動きもあり、新しい時代に対応できる若人を数多く育てていった。婦人学級は小学校単位で組織され、学習の目標は「明るい家庭づくり」「よい子を育てるには」「新しい時代の親子のありかた」などを掲げるものが多く、小・中学生の母親が多く参加した。
表2-13 青年学級開設状況一覧
学級名 | 学習内容 | 学習 時間数 | 学級生徒 | |||
男 | 女 | 計 | ||||
1 | 積志 | 農業技術、経済、一般教養、工業、家 政、演劇、華道 | 250 | 30 | 20 | 50 |
2 | 北星 | 農機具一般、家政、華道、音楽 | 250 | 52 | 25 | 77 |
3 | 飯田 | 一般教養、科学、料理、演劇、華道、音楽 | 250 | 48 | 37 | 85 |
4 | 都田 | 柑橘栽培、経営、実習、果樹一般 | 250 | 59 | 11 | 70 |
5 | 吉野 | 一般教養、工業、農業、商業、家政 | 250 | 40 | 30 | 70 |
6 | 南陽 | 一般教養、農業技術、家政一般、華道、 茶道、体育、レクリエーション | 250 | 43 | 98 | 141 |
7 | 神久呂 | 農業技術、一般教養、機械、演劇、音楽 | 250 | 82 | 63 | 145 |
8 | 天竜 | 一般教養、洋裁、華道、家政、料理、公民 | 250 | 20 | 20 | 40 |
9 | 入野 | 織物工業、織機、実習、品質、加工一 般、自動車、食品、生花、一般教養 | 300 | 36 | 140 | 176 |
10 | 笠井 | 一般教養、農業一般、商業、茶道、華 道、体育、民法 | 250 | 80 | 70 | 150 |
11 | 蒲 | 自動車構造専門学科と実習修理、家政、 音楽、華道 | 250 | 38 | 13 | 51 |
12 | 与進 | 一般教養、政治、経済、家政、演劇、織布 | 250 | 5 | 50 | 55 |
13 | 新津 | 一般教養、音楽、生花、職業技術、料 理、家事 | 250 | 50 | 21 | 71 |
14 | 湖東 | そ菜、園芸、果樹、保健衛生、生花、体 育、レクリエーション | 250 | 135 | 51 | 186 |
15 | 中部商業 | 簿記一般、商店経営、実務、サービス、 商品知識 | 250 | 17 | 14 | 31 |
16 | 東部工業 | 機械、原動機工業常識、精密測定読図、 計算尺、機械工作、金属材料、電気知識 | 250 | 90 | 0 | 90 |
17 | 篠原 | 一般教養、茶道、華道、コーラス、演劇、 各クラブ活動、農業一般 | 250 | 30 | 51 | 81 |
18 | 江西 | 織物機械、実習、品質、加工一般、家 政、生花、一般教養、洋裁 | 250 | 0 | 54 | 54 |