【貿易自由化】
地域経済を支える三大産業のうち、貿易自由化の影響を強く受けたのは繊維産業であった。貿易の自由化が遠州綿織物産地を衰退させていく一因となったとも言える。昭和三十六年四月から原綿の輸入自由化が実施された。従来、原綿の輸入は、外貨の流出を制限するために、織機の台数や輸入実績に基づいて割り当てられるという原綿輸入リンク制がとられていた。そのため織物業者は織機設備に基づいて割り当てられた原綿を紡績会社へ転売することによってプレミアムを得ていた。しかし、従来のリンク制に代わって、自動承認制度が適応されると、いわゆるリンク綿が無くなり、織物業者にとっては大きな収入減につながった。また、自由化によって原綿輸入量と綿製品に対する需要の読みが非常に難しくなり、綿織物価格の乱高下の影響を受けるようになっていった。これに対し、遠州織物業界は①業界全体で生産、価格、出荷、販売等の計画化を実施する、②設備の近代化を促進する、③価格変動準備金制度を導入する、④繊維織機の耐用年数の短縮化などの対応策を打ち出した。
表2-20 個人所得の処分状況
項目 | 昭和35年 | 昭和45年 | 昭和50年 | ||||
実数 (百万円) | 構成比 (%) | 実数 (百万円) | 構成比 (%) | 実数 (百万円) | 構成比 (%) | ||
個人所得額 | 41,304 | 100 | 228,738 | 100 | 526,563 | 100 | |
個人貯蓄 | 12,468 | 30.2 | 47,648 | 20.8 | 129,215 | 24.5 | |
個人消費支出 | 27,045 | 65.5 | 147,962 | 64.7 | 316,737 | 60.1 | |
消費支出 の内訳 | 飲食費 | 11,094 | 26.9 | 47,268 | 20.7 | 96,723 | 18.4 |
被服費 | 3,047 | 7.4 | 13,348 | 5.8 | 27,935 | 5.3 | |
光熱費 | 1,265 | 3.1 | 4,548 | 2 | 11,044 | 2.1 | |
住居費 | 2,737 | 6.6 | 29,767 | 13 | 62,937 | 12 | |
雑費 | 8,901 | 21.5 | 51,270 | 22.4 | 112,949 | 21.3 |
注:個人税や税外負担等は除外しているため個人貯蓄と個人消費支出の合計は100%にならない。