戦後、浜松の商工業者の拠点となっていたのは、昭和二十二年に復興した商工会議所(同三十二年に増築完成)と同二十七年に隣接して建てられた浜松商工会館であった。高度成長下での地域産業の発展とともに、昭和四十年度には会員が二千五百六十八人となり、さらなる会員の増加が予想されていた。そのため会館が手狭になり、館外での会議が増え、様々な面で不自由があり、新会館の建設が懸案となっていた。そこで会議所は、昭和四十二年に臨時議員総会を開き会館の新築を決議した。
【浜松商工会議所会館】
新会議所会館は、昭和四十四年六月に竣工。鉄筋コンクリート地下一階、地上六階、延べ床面積は三千八百七十三平方メートルで旧館の約二倍に当たる規模になった。また、会議所と商工会館が一体化したビルで、会議室やホールだけでなく、地域産業が生み出す多種多様な製品を陳列する機能も備えられた。商品陳列所ではオートバイ、繊維製品、楽器など浜松を代表する地場産品が陳列され、特設展示場では新製品の発表会などが催されることになった。また、資料室には全国各地の商工名鑑、官報、公報、各種統計資料などが収められており、簡単に利用できるようになっていた。談話サロンは、会員の打ち合わせや懇談の場所として明るい空間を提供していた。新会館は、産業都市・浜松のシンボルとして、ますます発展する地域産業の拠点になることが期待された(『新編史料編六』 五産業 史料1参照)。