[西遠農業センターと農業の機械化]

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【西遠農業センター】
 静岡県は、昭和四十年六月一日に県立西遠農業センターをスタートさせた。場所は三方原台地の北端に当たる都田地区内の三十三・七ヘクタールの敷地に、本館、製茶工場、農産物貯蔵庫、温室、農業機械庫などを建設し、三十ヘクタールの実験農場を造成した。
 
【農業機械化実験農場】
 この農業センターは、農業基本法による農業振興策である①農業経営の構造改善、②畑作農業の振興、③農業の機械化、④農業従事者の育成といった目標を実現する拠点として建設された。このような目的を達成するために、既存の県柑橘試験場西遠果樹分場、県茶業試験場三方原分場、県農業試験場三方原田畑輪換試験地の三分場を吸収し、さらに農業機械化実験農場を新設し、新農村建設の実験場としてスタートした。特に、農業センターの目玉である機械化農場は機械化施設を利用した農業経営のモデルケースを西遠地方に普及させる狙いで、西遠地方の地質や気候に適した蔬(そ)菜、果樹栽培を中心に農業経営の研究を行い、その情報を農家に提供して地域の農業開発に役立たせようとするものであった。一区画一ヘクタールという大規模な実験農場は、田畑二十ヘクタール、茶園四ヘクタール、モモ、ナシ、ブドウ、ミカン、クリなどを栽培する果樹園六ヘクタールからなり、水田は十ヘクタールを造成した。畑作も三方原台地の地質に適したバレイショ、キャベツ、スイカなどを栽培し、一区画一ヘクタール規模の耕地で、種まき、施肥、除草、病虫害防除から収穫に至るまでの一切を機械で処理というものであった。ここではトラクター、コンバイン、プランター、ハーベスターなどの農業用大型機械を導入し農業の機械化を推進することになった。また、新しい農業のリーダーを養成する目的で、センター内に寄宿舎付きの農業機械化技術者養成訓練所を設置した。そこでは大型機械の操作や栽培の新しい技術を短期間で習得し、出身地の農村で新しい農村を建設するリーダーになってもらう人材を養成することになった。