[北線案と南線案]

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【南線 北線】
 この結果、翌三十五年三月、新幹線静岡工事局は浜松通過コースの立入調査延長の申し入れを行い、市案を比較線として取り上げて調査を開始した。六月二十八日、国鉄新幹線静岡工事局坂本局長が浜松市を訪れ、国鉄の当初計画である市南部の農業地帯を通過する南線と、現東海道線に接近して現駅を通過する北線の両コースについて意見を交換した。この頃には、新幹線浜松通過コースが、南部農業地帯・土盛案と市が提案した市街地・高架案のどちらに決まるのか、市民の大きな関心事となっていた。

図2-34 南線(国鉄)案と北線(浜松市)案

【国鉄側の反対理由】
 国鉄が市案に難色を示す理由は、五百九十戸(『静岡新聞』昭和三十五年六月三十日付)に上る家屋の移転に伴う補償費と用地買収費により大幅な工費増が見込まれることであった。国鉄は、両案を比較研究した結果として、北線が望ましいが移転補償費や地価が高いため、市の全面的な協力が必要であるとした。