東海道新幹線の東京・新大阪間五百十五キロメートルのレールが、五年三カ月をかけてようやく一つにつながり、昭和三十九年七月一日、東京起点十七・五キロメートルの地点で最終レールの締結式が行われた。レールの最終的仕上げが行われ、七月二十五日から全線試運転が始まった。昭和三十七年六月から完成区間で部分的な試運転が行われていたが、三島─豊橋間については、二十五日に初めて上りと下りの列車が通過した。
東京・新大阪間の下り一番試運転列車に熱海から浜松まで同乗した静岡新聞記者は、予定ダイヤより遅れたものの好成績の試運転だったとして「天竜川鉄橋上空には報道関係の飛行機やヘリコプターが数機乱舞していた。列車が浜松駅に着くとすでに上り列車は到着しており、発車直前だった」と記している。なお七月七日、東海道新幹線の超特急と特急の愛称がそれぞれ「ひかり」と「こだま」に決まった。
その後も区間ごとの速度向上テストや軌道整備が続けられ、八月二十四日からは東京─新大阪間の十二両編成による定員を乗せての営業ダイヤ試運転が開始された。
【東海道新幹線浜松駅の落成式】
新幹線開業日前日の九月三十日に、東京、新大阪、名古屋、静岡の各駅から十五本の招待試乗運転が行われ、歴代運輸大臣、国会議員、各国の在日大公使ら約一万人が招待された。この日、午後二時半から浜松では東海道新幹線浜松駅の落成式が行われ、東海道線浜松駅と新幹線浜松駅を結ぶ渡線橋(全長六十二メートル)の渡り初めで完成を祝った。