産業経済の急速な発展を反映して電話需要は着実な増加を見せた。浜松電話局のまとめによると、浜松市内の電話加入数は、昭和三十五年現在で一万四千百九十三台、総世帯の五分の一を占めるに至った。特に同三十二年十二月に浜松局が自動式に切り替わってから電話の需要が増加し、それ以後毎年千件を超える電話申し込みがあった。『浜松市統計書』(表2―41)によれば、昭和三十六年の加入電話数(十二月末現在)は一万五千五百十八台、昭和三十九年には二万台、同四十一年には三万台、同四十四年には五万台をそれぞれ突破し、それ以後は毎年約一万台ずつ増加した。
電話の加入は事務用が先行していたが、昭和四十年代半ばからは住宅用が著しい伸びを見せた。昭和三十六年の千二百十七台から同四十六年には二万八千二十五台へ二十三倍増加した。こうした急激な電話需要の増加に対処するために、電話局の回線の増設や新設備の導入、さらには分局の設置などが緊急の課題となった。なお、この間に市内に設置された公衆電話の数も昭和三十六年の二百八十台から同四十六年には千八百七十八台へ増え、同三十五年からは一部の機器に硬貨がなくても通報できる緊急通報装置が付けられるようになった。
全国的な想定を上回る電話需要の増加に対応して日本電信電話公社(電電公社)は、昭和三十三年四月にスタートした第二次五カ年計画を実態に合わせて規模の拡大を図り、昭和三十四年八月に改定第二次五カ年計画として発表した。この結果、新技術の採用と設備の近代化を基礎とした加入電話・公衆電話の増設、電話局建設、市外サービスの改善(即時化)、電信サービスの改善に関する到達目標は、改定以前に比して大幅に引き上げられた。例えば、加入電話については当初目標の全国百三十五万(東海四県十三万)から改定後の同じく百八十万(同二十四万)へ拡大された。その後も昭和三十八年四月から第三次、昭和四十三年四月から第四次五カ年計画を実施し、設備の近代化と拡充を図ってその後も続く電話需要の増加に対応した。
【ダイヤル即時化】
電電公社は、数次にわたる五カ年計画を通じた最終目標を、全国的な市外通話の自動即時化に置き、その達成年度を昭和四十七年とした。このため①市外電話線の増設、②市外局番を全国的に統一、③自動中継交換機の取り付け、④料金の統一が実施されていった。こうして即時化も手動(一〇三で交換取扱者を呼び出して接続する方式)から自動(ダイヤルして直接接続する方式)へと段階的に進んだ。
まず、全国を八つの総括局区域に分け、総括局区域をさらに中心局区域、集中局区域に段階的に分けて、それぞれに総括局、中心局、集中局を置いて、それぞれに自動中継交換機を設備して、接続は区域と区域を結ぶ方法を取りつつ全国的な即時網が形成されていった。浜松電話局は中心局として位置付けられた。
即時化の進展に対応して、昭和三十六年六月には公衆電気通信法の一部改正が行われ、単位料金区域(数個の電話局の加入範囲を一つのエリアとし、市内通話料金で通話できる区域)の設定、距離別時間差法(市外通話も市内通話と同様七円を単位とし、通話時間は同区間の距離によって決定)、三分一分制(一通話三分とし、これを超えたあとは一分刻みで課金)、準市内通話制度(単位料金区域内の自動電話局相互間の自動即時通話に限り一分ごとに七円)を柱とする新料金制度が確立された。
【市外局番】
また、昭和三十七年八月五日には、市外局番の全国的統一の必要から新市外局番への切り替えが行われた。東海四県には五番、静岡県西部に三番、そして浜松市には四番が割り当てられた。この結果、浜松市の市外局番は、最初に市外局番を表す〇をつけて、〇五三四となった。昭和三十八年十月一日には浜松で初めて二桁(五四局)の市内局番が誕生、以後次第に二桁になっていった。
【浜松電報電話局】
なお、昭和三十七年一月二十五日には電報電話業務の一体的運営を図るため、浜松電報局と浜松電話局とが統合され、浜松電報電話局が誕生した。
表2-41 浜松地区の電話加入状況
事務用 | 住宅用 | その他 | 合計 | 公衆電話 | |
昭和34年 | 11,630 | 914 | 108 | 12,652 | 181 |
35年 | 13,010 | 1,068 | 115 | 14,193 | 273 |
36年 | 14,191 | 1,217 | 110 | 15,518 | 280 |
37年 | 16,016 | 1,508 | 132 | 17,656 | 302 |
38年 | 17,992 | 1,722 | 156 | 19,870 | 393 |
39年 | 19,829 | 2,583 | 146 | 22,558 | 515 |
40年 | 25,579 | 3,777 | 173 | 29,529 | 820 |
41年 | 28,372 | 4,800 | 200 | 33,372 | 969 |
42年 | 32,374 | 6,288 | 246 | 38,908 | 1,195 |
43年 | 34,824 | 9,501 | 274 | 44,599 | 1,284 |
44年 | 37,888 | 12,385 | 343 | 50,616 | 1,388 |
45年 | 41,666 | 18,304 | 262 | 60,232 | 1,654 |
46年 | 45,141 | 28,025 | 257 | 73,423 | 1,878 |
47年 | 48,912 | 38,708 | 267 | 87,887 | 1,986 |
注:浜松電報電話局管内の加入数である