[経済の高度成長と社会福祉]

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【保護世帯】
 昭和三十年代から昭和四十年代後半にかけて、経済の高度成長と春闘をはじめとした活発な労働運動によって賃金労働者の生活水準が向上し安定していったことは、全国的な傾向だけでなく、前項でも述べたように市域でも確認されている。また、賃上げをはじめとした成長の恩恵を受けにくい生活保護世帯や母子家庭、老人や子供、傷病者や障害者などへの支援を内容とする社会福祉政策や事業は、市域でも多方面に展開されていった時期でもあった。これらの政策や事業展開の原資は経済の高度成長を背景とした税収の増加であった。なお、市民の生活水準の上昇に伴って、保護世帯数・保護人員は昭和三十年代後半から同四十八年度までほぼ一貫して減少していった。保護人員は同年度に約千五百人となり、昭和三十九年度の二分の一ほどになった。この期間は経済の高度成長の時期で、自立世帯が増加する傾向が表れていた(図2―45)。しかし、保護人員は昭和五十年から同五十四年度までは年々増加し、五十四年度には約二千四百人となり、同五十年代末までほぼ同様な人数が続いた。なお、景気が回復した昭和六十年以降から再び減少し、バブル経済期の平成元年度頃は千三百人台となった。

図2-45 浜松市の保護世帯数・人員の推移