【『川柳いしころ』】
短詩形文学としての川柳は、短歌・俳句に比べるとやや地味な存在であるとの印象を受けるが、この浜松市内には、長く続いている川柳の同人誌がある。誌名は『川柳いしころ』。平成二十三年二月時点で五百八十号を数える。発行所は浜松川柳社いしころ会。毎号本文三十頁前後の雑誌である。
残念ながら浜松市立図書館に、昭和四十四年九月(№83)以前の同誌は保存されておらず、創刊号を見ることはできないが、平成五年の一月号(№363)所載の「いしころ会発足当時のあらまし」によって、創刊当時のことを知ることができる。記事には「元主幹阿部展久氏のお話による」とのサブタイトルが付けられている。これによると、発足は昭和三十八年一月で、会の名は会員が案を持ち寄り互選によって決めたとあり、会員については約二十名、旧国鉄職員を主体とし、その他の者数名にて結成したとある。会誌の発行状況については、一号から四十九号まではガリ版刷り、五十号(昭和四十二年二月)からが活版印刷で、毎年一回、一年間の作品の中から会員の自選句を句集として発行するとある。このほか、句会は月一回で、会場は旧国鉄の職員クラブを利用したことなどが記されている。
鈴木里志(本名=佐利)が編集兼発行人となるのは昭和六十一年一月号からで、亡くなる年の平成八年十月号まで務める。その後を鈴木泰舟が継ぎ(亡くなる平成十九年の六月号まで)、平成二十三年時点では今田久帆が担当している。平成二十三年三月時点での会員数は四十名(内同人数は三十五名)。会の名は初め川柳いしころ会であったが、平成八年九月号(№407)から浜松川柳社いしころ会となった。