浜松地方におけるローカル紙として、二十余年間続いた月刊紙『浜松文化モニター』の創刊は昭和四十三年六月である。編集発行人は、『浜松民報』や『東海展望』の記者として活躍した内山恒雄であった。創刊に先立つ「『浜松文化モニター』紙創刊趣意書」に「公正な立場に基づく小新聞紙の発刊を決意」との言葉が見える。第一号の日付は昭和四十三年六月一日。紙面の大きさはB4判で四頁仕立て。月一回の発行とはいえ、毎号このスペースを埋めるのはなかなか大変であったと想像される。内容的には、紙名に示されているように政治・経済・社会関係の記事はあまり多くなく、浜松市を中心にする西遠地方の文化芸術の動向をきめ細かく伝える記事が大部分である。見出しの活字はむやみに大きくなく、刺激的な表現や言葉も見られない。地方文化を守り育てようとする真摯な姿勢が読み取れて好感の持てる紙面作りとなっている。同紙は浜松地方の文化活動の、まさに目撃者、証人、記録係として発行され続けたが、昭和六十二年頃から、時々二カ月分(時には三カ月分)の合併号として出されるようになる。浜松市立中央図書館には、平成二年二月一日号(第二百四十七号)までが、ほぼ揃っているが、同紙はこの頃に二十余年にわたるローカル紙としての幕を閉じたものと思われる。
図2-65 『浜松文化モニター』第1号