[はしご車の増車と化学車・工作車]

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【はしご車】
 昭和四十八年(一九七三)十月、浜松市消防本部に三台目の新鋭はしご車が入り、業務委託を受けている浜名郡舞阪・雄踏両町と可美村の守りにつくため、南部消防署篠原派出所に配置された。はしごの高さは三十五・四メートルとこれまでの最高で、機能も優れているので、九・十階建てビルの屋上までホースが届き、市内舘山寺温泉街や舞阪町のビル火災に対処できた。業務委託した広域消防組合(舞阪町、雄踏町、可美村)が三千万円を負担して購入した(『静岡新聞』昭和四十八年十月三十日付)。また、市の中心部に高層ビルが増えたため、昭和五十一年度には三十八メートル級のはしご車を中消防署へ配置した。同五十一年十一月市消防本部に屈折はしご付消防車が日本損害保険協会から寄贈された。これは地上十五メートルまで伸びる二段式の屈折はしごを積載した消防車で、はしごの先端にあるバスケットに乗って、二人の消防士が放水、人命救助などあらゆる消防活動が出来るのが特徴で、中消防署鴨江派出所へ配置された(『静岡新聞』昭和五十一年十一月二十日付)。
 
【化学消防車】
 昭和五十四年度に市は車両・航空機・油タンク等危険物火災に対処するため、新鋭の化学消防車を導入した。この車は薬液と水とを混合させて泡沫(ほうまつ)を作り、この放射泡で空気を遮断すると同時に水で冷やして消火する。車に備え付けの薬液漕は千二百リットルの容量を持ち、水と混ぜて毎分最大千六百リットルの泡沫を放射した場合、二十五分にわたり消火活動を続けることが出来る。価格は二千四百六十五万円で、普通の消防車(千百万円程度)と比べると二倍以上であった(『静岡新聞』昭和五十四年八月十一日付)。この化学消防車は東部消防署の本署に置かれた。同五十六年二月市消防本部は照明装置を備えた新型救助工作車を購入した。価格は二千五百万円、この車は特別注文で、四トン車のベースに電源車としての役割も果たす投光器や救助用具をコンパクトに装備しているのが特徴である。夜間百メートル離れた所で事務所内の電灯の明るさを発揮できるもので、中消防署の本署に配置された(『静岡新聞』昭和五十六年二月二十七日付)。
 平成二年三月市消防本部はコンピュータ制御による最新のはしご車を導入した。これは浜松駅前の建物の高層化に対応するためであった。価格は一億一千万円。はしごの先端がマイナス十度に下がるので、河川などでの災害救助にも威力を発揮する。このはしごの地上高は四十・二メートル(ビルの十二階~十四階)で、起立角度がマイナス十度から七十五度と幅が広いため、多様な消火・救助活動が可能であった。これにより同本部のはしご車は五台目となり、市内の拠点派出所ごとに配置されることになった(『静岡新聞』平成二年三月十五日付)。