【『浜松市地域防災計画』】
『浜松市地域防災計画』東海地震対策編(昭和五十五年)にある地震防災施設緊急整備計画は、大地震発生に備え、今後おおむね五年以内に整備すべき防災施設や防災事業を挙げたもので、計画通り整備すると二百七十六億円が必要とされた。これは、防災業務施設(貯水槽などの消防用施設、行政無線などの通信施設)、避難地や避難路、道路・橋などの緊急輸送路、防災上重要な建物(病院や学校の耐震化など)、災害の防止(がけ崩れ防止と津波対策)、水道施設など(浄水施設など)、市有施設(庁舎の耐震化、防災活動資材)などであった(『静岡新聞』昭和五十五年三月六日付)。
【耐震補強工事】
昭和五十五年度、市は公共建造物の安全性を調べるため、初の本格的な耐震診断を実施することにした。対象となる市の施設は、比較的古い鉄筋コンクリートのものが中心で、小・中学校、市消防本部、市庁舎など二十~二十一カ所が予定されたが(『静岡新聞』昭和五十五年四月二十日付)、実際には八十三棟に変更され、翌年度はさらにこれを増やした(『静岡新聞』昭和五十五年九月二十一日付)。診断結果に基づき、要注意建築物となった県居小、入野小、八幡中などは昭和五十七年に耐震補強工事が実施され、以後順次各校で行われた。浜松北高等学校も耐震補強が求められたが、同校は道路拡張問題も絡んだため、全面改築となり平成元年十一月に新校舎が出来た。
【可搬式消防ポンプ】
昭和五十五年三月五日市消防本部は可搬式消防ポンプを市内三十七の自主防災隊に貸与した。これにより昭和五十一年度以来合計九十七の自主防災隊に可搬式ポンプが貸与されたことになった。ポンプは重量三十キロで、大人二人で移動ができ、一分間に五百リットルの放水が可能である。このポンプは同五十九年度末までに三百七十六台が貸与された。
【地震防災対策補助促進事業】
昭和五十七年六月市はブロック塀の撤去と窓ガラス飛散防止に対して工事費を補助する地震防災対策補助促進事業を始めた。初年度の利用者は、ブロック塀撤去は予定の六割に当たる三十件あったが、窓ガラスの飛散防止に取り組む人や企業は少なかった(『静岡新聞』昭和五十七年七月三十一日、同五十八年五月二十七日付)。