[地震防災の応急対策と救援活動]

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【『浜松市地域防災計画』】
地震防災の応急対策は『浜松市地域防災計画』東海地震対策編(昭和五十五年)から見ると主なものは次のようになる。
 
1.市の活動
  ①浜松市地震災害警戒本部の設置
   ・警戒宣言及び地震予知情報の住民への伝達
   ・避難の勧告・指示
   ・食糧、医薬品等の確保準備
   ・その他
  ②消防機関
   ・初期消火に付いての住民への広報
   ・避難誘導、避難路の確保
   ・水利の確認と確保
 
【水防団】
  ③水防団
   ・情報の収集と伝達
   ・津波、洪水危険区域内への立入禁止措置及び退去命令
   ・その他
2.情報活動
  ①警戒宣言及び地震予知情報等の受理・伝達・周知
  ②地震防災に関する情報の収集及び伝達
  ③県警戒本部に対する報告
  ④その他
3.広報活動
  ①警戒宣言及び地震予知情報
  ②家庭で実施すべき防災対策
  ③自主防災組織の活動要請
4.緊急輸送活動
  ①防災活動に要する最小限の資機材の輸送
  ②緊急の処置を要する患者
  ③その他
 
【自衛隊】
5.自衛隊の支援
  ①航空偵察による避難、交通状況等の情報の提供
  ②特定の患者の移送
  ③通信支援
  ④その他
6.避難活動
  ①避難の勧告・指示及び誘導
  ②避難所の設置、避難生活の管理、食糧・水等の準備
  ③その他
7.交通の確保、救援活動、施設・設備の防災措置など
 
【警戒宣言】
 地震防災の応急対策のうち、警戒本部の活動がどのように行われたかを、昭和五十七年九月一日の訓練で見ていく。市役所西館に警戒本部の設置準備が完了したのは午前七時半。そこに同五十分市長が到着した。午前九時の警戒宣言発令で準備室は警戒本部となり、電話や無線を使って情報伝達訓練が慌ただしく行われる中、警戒本部会議が始まり市長の訓示があった。午前十時半に発震、市長、助役ら市の幹部は自衛隊の大型ヘリで市内全域の被災状況を視察し、迅速な対応が出来るように訓練に努めた。
 地域への救援活動についても『浜松市地域防災計画』東海地震対策編(昭和五十五年刊)は、警戒宣言発令時における食糧、日用品、飲料水、医療品等必要物資の確保、医療救護活動及び清掃、防疫、その他の保健活動、またはその準備などについて市と自主防災組織、市民のそれぞれ果たすべき事項を細かく規定した。
 食糧及び日用品は、住民が確保することを原則とし、警戒宣言発令時にはその整備搬出を行い、自主防災隊は共同備蓄物資の点検やその確認を行うものとされた。これに対して、市は非常持ち出しが出来なかった住民や県外からの旅行者に対して緊急物資を調達するために確認などを行うとされた。水の確保についても、市民は飲料水や生活用水を可能な範囲で貯水し、自主防災隊は応急給水資機材の点検をすることが求められ、市は応急給水活動の準備を行うものとした。
 
【自主防災隊】
 救急医療活動で市民は応急措置に必要な医薬品の準備をすることとされ、市は救護班の出動を医師会に要請、応急救護所の救護用資機材、医薬品、衛生材料の点検と準備などを行うものとされた。清掃防疫保健活動で、市民は、自家処理に必要な器具の準備、自主防災隊は必要に応じて臨時共同便所の設置の準備が求められた。これに対して市は仮設便所の設置や清掃活動のための薬剤の準備と防疫用薬剤の在庫量の確認などや調達の準備を行うものとした。
 ここで大切なことは、市民は食糧、日用品、飲料水、医薬品などあらかじめ必要と思われるものは本格的な救援が始まるまでの期間分確保しなくてはならないということである。このことを冊子は「緊急物資は地域住民等が自主防災活動による自助努力で確保することを基本とする」と記している。