三方原地区土地改良事業

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【三方原ほ場整備 畑地かんがい 都市近郊農業】
 平成二年、三方原地区土地改良事業が約三十年の歳月をかけて完成した。この事業は三方原台地とその周辺の二市三町(浜松市、浜北市、引佐郡細江町、浜名郡雄踏町・舞阪町)を受益面積としてかんがい排水事業を行うとともに、ほ場整備等を進めるのが目的であった。昭和三十三年七月、天竜東三河特定地域総合開発計画の一環として秋葉ダムが完成、同三十五年天竜川(秋葉ダム)を水源とする国営三方原用水事業が始まり、水不足に悩む三方原台地の農業基盤整備を図ることを目的とした。同三十六年に受益農家による土地改良区が設立され、同四十年からは県営かんがい排水事業、同四十四年には県営ほ場整備事業が実施された。かんがい排水事業の受益面積は五千六・八ヘクタール(同三十九年当時)、ほ場整備事業の受益面積は四千四百五十七ヘクタール(同四十四年当時)になった。事業の中心は道路整備などの区画整理事業、畑地かんがい事業、台地からの地区外排水事業などであった。なお、田畑輪換計画は昭和四十年代前半の過剰米問題を背景に畑地かんがい計画に変更された。ほ場整備事業では十三の工区が作られ(当初は十五区)、このうち浜松市内の工区は八つで、組合員数は約八千八百人であった。最大規模の五区(三方原町、根洗町、初生町及び浜北市・引佐郡細江町の一部)は昭和四十五年に設立され、換地業務の完了とともに同五十八年十月に工区を解散した。最後まで残っていた工区も同六十二年には第二工区の伊佐見、第七工区の庄内、第十一工区の神久呂の完工で、市内の工区は全て完了したのである。この事業により、地域農業は一変し、果樹、茶、花き、野菜、施設園芸など多種多様な農産物を栽培する、全国でも有数の都市近郊農業に変貌した。
 
表3-17 三方原土地改良事業の概要(昭和63年)
事業名
事業の概要
国営三方原用水事業
工期  昭和35年~昭和45年
取水口 秋葉ダム右岸
事業費 約60億円
流量
最大流量  14.568m2/s
  農業  10.261m2/s
  工業  3.158m2/s
  上水道 1.149m2/s
導水幹線 22キロメートル
南部幹線 15キロメートル
北部幹線 5キロメートル
排水路  24キロメートル
県営かんがい排水事業
  工期   昭和40年~平成2年
支線用水路  25路線 109キロメートル
  事業費  約93億円
 揚水機場  20路線 92ヵ所
低地排水機場 3ヵ所
  排水路  10路線 34キロメートル
  調整池  1ヵ所
<受益面積>
かんがい
台地水田
370ヘクタール
低地水田
1,396ヘクタール

3,458ヘクタール
排水改良
255ヘクタール

5,479ヘクタール
県営ほ場整備事業
  工期  昭和44年~昭和62年
 受益面積 3,346ヘクタール
  事業費 約163億円
<区画整理>
整地工
428ヘクタール
用水路工
86キロメートル
排水路工
230キロメートル
道路工
437キロメートル
畑地かんがい
1,685ヘクタール
出典:『土地改良事業三方原地区のあゆみ』より作成