昭和五十年、浜名湖北部地域に農業用水を安定的に供給する目的で浜名湖北部用水事業がスタートした。この地域は都田地区から引佐郡引佐町・細江町・三ヶ日町にまたがる地域で、ミカン園が多く点在しており、ミカン園地帯を形成していた。しかし、この地域は傾斜度八度から十五度と起伏が多い地形のため、従来から農業用水の確保に問題があった。そこで、国が主体になって県と関係市町が協力して、二千四百ヘクタールのミカン園に農業用水を供給する事業が進められた。用水の水源は都田川の上流で、引佐町の東久留女木新田(左岸)と同町川名(右岸)に都田川ダムを建設し、そこから取水することになった。このダムは貯水量千二百万トンの多目的ダムとして建設され、ミカン園への農業用水のほか、二市四町(浜松市・湖西市・新居町・細江町・引佐町・三ヶ日町)への上水道用水、防災ダムとしても利用されることになった。平成元年十月に完工した。
図3-31 浜名湖北部用水事業概要図