かくて浜松歯科衛生士専門学校等の施設を含む口腔保健医療センターの建設着工が昭和五十六年十月にあり、同五十八年四月一日にオープンした。
図3-50 浜松市口腔保健医療センター
【医薬品情報管理センター】
口腔保健医療センターの業務は歯科診療と虫歯予防とが二本柱となっている。しかも、その歯科診療は一般市民の患者を対象にするのではなく、平日は心身障害者だけを予約制で診療し、休日のみが歯科の一般急患診療に充てるというものである。予防業務は零歳児から三歳児、その母親、妊産婦などを対象に行われ、講座指導室を使って実行するというもの。建物の二階は歯科医師会の歯科衛生士専門学校で、これは二年制の専修学校、定員は一学年四十人。三階と四階は浜松市医師会看護高等専修学校、定員は一学年五十人。なお、三階には浜松市薬剤師会の医薬品情報管理センターが入った。ここでは市民からの薬の相談や、医療関係者への医療品の情報提供を行った(『広報はままつ』昭和五十八年三月二十日号)。
昭和六十二年六月一日・七日付『静岡新聞』の記事で注目されるのは、浜松市歯科医師会がシンポジウムを開催したということである。まさに同センターの二本柱のうちの後者、市民への虫歯予防の啓蒙活動である。テーマは変化がもっとも激しい成長期の子供に焦点を当てたもので、「小児期から思春期の歯科保健を考える」というものである。「小児期から思春期は、身体的にも精神的にも著しい成長期で、歯科の面でも乳歯列が完成する時期から乳歯と永久歯が混在する時期」に相当するもので、この変化に適応しないと歯質や歯列が悪くなったり、あごの発育不良になる要因となるという。参加対象者は幼稚園・保育園・学校や障害児施設の関係者というように、かなり大規模なものであった。