[浜松市歯科医師会有志の奉仕活動]

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 口腔保健医療センターが単に市民のための市立歯科診療所ではなく、センターの業務の二本柱のうちの前者に挙げている歯科診療として、心身障害者の診療を掲げていることが注目される。
 
【浜松市歯科医師会】
 これに至る前提は浜松市歯科医師会有志たちによる長年の奉仕活動があったからと思われる。それは聖隷保養園(昭和二十七年五月改称)時代の昭和四十八年五月、細江町中川にある「おおぞらの家」の開園を機に浜松市歯科医師会有志がおおぞらの家歯科診療班を組織し、小羊学園(昭和四十一年五月開園)、聖隷福祉事業団(昭和四十八年十二月改称)時代の若樹学園(昭和五十三年開園)という重症心身障害児(者)施設において、初め安岡魁医師の指揮下に毎月二、三回、出張診察に赴いていた歴史がある。
 昭和五十一年二月二十日発行『広報はままつ』(第五一八号)には、市内篤志家の寄付金を基金とする医療奨励金の第一回褒賞贈呈式があった。四名の個人と三団体である。団体では歯科の安岡魁(代表)が受賞している。テーマは「重症心身障害者の診療方法の改善」である。
 同六十三年二月八日付『静岡新聞』には、障害児治療の現場での困難な状況を乗り越えて、昭和四十八年以来の十六回目の奉仕活動が実施され、虫歯の進み具合や歯肉の炎症、かみ合わせの不具合を調べたことを報じている。医師と患者との信頼関係が長年にわたって築き上げられてきたことがうかがえよう。