【食品衛生】
右の新しく発足した時点での保健所業務の実情はいかなる社会状況に直面していたか。『静岡新聞』には数々の困難な状況に直面していた事が報じられている。
例えば、発足直後の昭和四十九年十月十五日付の記事によると、食品衛生監視員の人数が不足していることが指摘されている。すなわち、浜松市保健所では所長を含めて六人の監視員。食品衛生監視員は食品衛生法に基づき立ち入り調査などの取締りや許可に強い権限を持っている。許可の対象業種は飲食店営業、乳製品製造、旅館や料理店営業など三十業種もあり、食品衛生法での許可対象業種の新規開業や更新に伴う調査に追われているのが実情という。浜松市保健所の年間の許可件数は約一万件。このほか許可を要しない学校や事業所の給食検査などがあり、合わせて約一万七千件もある。
飲食店営業への法定監視回数は年間十二回であるが、右の職員数の状況によって監視パトロールまで十分に行き届かないという。
食品衛生監視員の資格の条件は、医・歯・獣医・薬・水産・畜産・食品工学などの四年制大学の卒業生であること。この時点では有資格者の採用が出来ないでいるという。