【環境衛生】
環境衛生に関しては浜松市の人口増加と市域の拡大に伴い、他方、下水道の普及が追い付かない状況下で社会的問題となり始めたのがし尿浄化槽の設備の不完全な管理問題である。
『新編史料編六』では昭和三十七年七月五日発行の『広報はままつ』で瓜内町に建設中の下水道終末処理場が操業開始した記事を収録した。その本文でも全家庭を水洗化するという理想を掲げている。
昭和四十八年一月二十日発行の『広報はままつ』'73・冬 総合版では、公共下水道区域内においては、従来のくみ取り式便所を改め、水洗便所の設置を義務付けし、また、し尿浄化槽利用の家庭にも、この浄化槽撤去を指導している。
昭和五十一年十二月十七日付の『静岡新聞』記事では浜松市の下水道普及率わずか十八%という数字をあげ、家庭でのし尿処理槽設置が急増していると指摘している。この記事中には設置家庭は一万一千戸。十年前に比べると三十六倍という。さらに昭和六十二年五月二十四日付の『静岡新聞』記事では浜松市内に設けられた浄化槽は約四万六千基あるといい、市内の下水処理の約三分の一を賄っているという。
浄化槽の維持管理(汚物処理・消毒薬注入)を怠ったり、放流側溝の無い所でも浄化槽を設置したりする家庭が増加しているので、保健所はその苦情処理に追われているという。右に挙げた昭和五十一年と六十二年の新聞記事の主たる内容は、浄化槽パトロールの実施を取り上げたものである。なお、浄化槽使用に関しては、『広報はままつ』平成二十四年十月号では依然として、法律で決められた①保守点検、②清掃、③法定検査という義務を説明している状況である。
また、『静岡新聞』(昭和五十年一月二十五日付)記事では浜松市保健所が産業廃棄物の実態調査に乗り出すことを報じている。産業廃棄物が環境破壊を招き、公害・社会問題を引き起こしている実態を調査するものである。市内の各種製造工場約六千社あるうちで、従業員四人以上の事業所三千余の会社から、約二千社を抽出し、意識(廃棄処理に対する困窮度、再利用の希望など)と実態(廃棄物の排出量など)の二種類にわたる調査である。これなどは政令市としての保健所業務を貫徹させる意図が窺(うかが)える。