[成人病恐怖時代の到来]

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【成人病恐怖時代】
 昭和三十五年三月十一日付の『静岡新聞』は浜松市衛生課がまとめた昭和三十四年一年間の成人病死亡者数を報じている。四十歳以上の成人死亡者数の二千二十七名のうち、成人病では千百十七名で、内訳は脳いっ血四百八十四名、心臓病四百十三名、ガン二百二十名という。これを総括する言葉が「成人病恐怖時代の到来」を思わせている、というものである(昭和三十五年三月二十五日付『静岡新聞』記事では右の三つの病名死亡者の数値が異なる)。
 昭和三十五年五月一日付『静岡新聞』の記事によれば、浜松市は四月からの新年度の保健事業として、成人病対策の血圧測定と小児マヒの予防活動を行うことにした。前者の血圧測定は四十歳以上の約六万人を対象にし、要注意者にはカードを渡し医師の診断を受けるように勧告し、二名の保健婦に家庭訪問させるという計画であった。実際には予算不足でカードを渡すのみに終わった。
 
【成人病予防対策】
 昭和三十五年六月には成人病予防対策の具体的方針が決まった(同年六月七日付の『静岡新聞』)。それは全市域の四十歳以上を対象に最高血圧百五十㍉以上、最低血圧九十㍉以上の人の名簿を作成し、この名簿に基づいて血圧の再検査と検尿、タンパクの有無を検査し、職業、労働、生活状態、食物、体質、遺伝、既往症、自覚症状を調べ、要注意者には医師による治療、保健婦の家庭訪問による生活指導を行うというもの。
 浜松市は結核検診と同時に血圧測定を実施してきたが、昭和三十五年九月から昭和三十六年一月までの成人病による市内の死亡者六十九名は、前年同期の死亡者八十九名に比べて、一割以上の減少となった。また、昭和三十七年二月十五日付の『静岡新聞』には、国民健康保険課が昭和三十六年四月から昭和三十七年一月までの葬祭給付から見た市民の死亡状況が記載されている。浜松市の国民健康保険の加入者は三万四千六百五十六世帯、十三万九千百六十四人であるが、男女別死亡者数・死亡年齢・病名の詳細は省略するとして、死亡原因の第一位は高血圧・二百七十八名(二十八・三%)、第二位は心臓病・百五十四名(十五・七%)で、高血圧による死亡者が多いことを記している。
 
【高血圧 ガン 心臓病】
 食生活の面から高血圧やガン、心臓病などの予防を考える企画が、浜松保健所による成人病栄養学級の開講である。これは昭和四十七年七月十一日付『静岡新聞』の報道である。すなわち、九月までの第二・第四の月曜日に六回、成人病検診、食生活の現況、食品の組み合わせ、食品交換表による献立、減塩食の調理、生活指導などの講義と実習を体験してもらうというもので、大盛況と報じている。
 また、昭和五十一年二月五日号の『広報はままつ』には、浜松市保健所の糖尿病に特化した講座案内(「食事療法で快適に」)が掲載されている。二月(二回)、三月(二回)の計四回、定員五十人である。