[肥満は薄命と知るべし]

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 昭和三十八年五月三十日付の『静岡新聞』は聖隷病院が県下初の成人病検診車を購入し、市民対象の胃のレントゲン検査、心電図による心臓検査、便潜血反応、血圧測定、検尿などを行うと報じた。一日一カ所で毎日五十人、検診料は一人につき千五百円という。なお、この年の八月に聖隷浜松病院が分離独立。
 昭和四十五年二月二日付の『静岡新聞』では、一日から全国一斉に始まった成人病予防週間の一環として、浜松市医師会が成人病予防講演会を催したことを報じ、同年六月十七日付の記事では浜松市医師会中央病院に「県西部成人病センター」を設置(六月十六日)したことを記している。これは胃ガンと子宮ガン検診を中心とした成人病の総合検診センターである。
 
【肥満】
 成人病予防の気運は市民や各業界に普及し始めた。浜松商工会議所発行の『浜松商工時報』号外(昭和四十五年五月一日刊)には静岡労災病院長近藤鋭矢が「肥満は薄命と知るべし」という丁寧・詳細にわたるエッセイを寄稿している。あえてこれを抄記すると、標準体重より五キロ重い人の死亡率は、平均死亡率に比べて八%高い。十四キロ重では二十八%、二十三キロ重では五十六%の高さとなるという。肥満の療法も親切を極めているが、「食餌療法が最も効率が高い」と推奨し、その要領を記している。