[成人病は各人が治す]

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 昭和六十二年八月五日発行の浜松西農協の広報紙である『広報はまにし』(一八六号)には、遠州総合病院長鈴木重世が農協職員会で行った講演が転載されている。タイトルは「成人病は医者が直(ママ)すのでなく各人各人が直す病気」であるが、見出し句の「成人病は各人が治す」とは成人病治療の本質を示す標題として援用したものである。
 講演の主旨は標題に尽きるのであるが、過去の病気は急性の伝染病が多く、現代は成人病が主となり、医療だけでは治癒しない。死因構造も変化して、「病気発生率からも昭和30年頃と比較すると高血圧18倍、脳血管障害6倍、心臓疾患8倍、肝疾患6倍、消化器疾患2倍、糖尿病は何と22倍にも増加している。」という。そして成人病の克服は予防、早期発見、継続治療であることを強調し、その具体的な心構えを説明している。
 右に見た各業界・組織を挙げての成人病の予防と早期発見は共通しているが、鈴木重世の講演では、「成人病は、一旦発病すると慢性化の経過をたどり、後遺症も残してしまう病気」である故に、継続治療が重要であると指摘する。予後も含めて各人の持続する意志が日常生活の質を生むというのであろう。