可美村は昭和六十一年一月十四日付の『静岡新聞』によると、高血圧教室を開催した。そこでは調理実習、血圧測定、血液検査、検尿、尿中塩分測定、日常生活の注意などを学ぶという。このような村を挙げて保健事業に取り組んでいる延長に、平成元年度の『可美村民健康実態調査結果報告書』(平成二年一月)がある。
【日本一健康まちづくりモデル事業】
この背景には、可美村が高齢化社会へ向けて緩やかに年々進んでいるという可美村村長大場賢治の認識がある。この調査目的は可美村が日本一健康まちづくりモデル事業の指定を受けたことに伴い、可美村住民の健康実態調査を行ったものである。調査対象は満三十歳以上の男女個人の一、一〇〇人。調査項目は、健康状態、現在かかっている病気の種類、自覚症状、健康管理上の留意点などについて質問している。
現在かかっている病気の種類では、高血圧症三十六・九%、心臓病十七・八%、胃腸病十三・一%、五十肩・腰痛十・三%、白内障十二・一%、糖尿病九・三%、歯科五・六%、神経痛・リウマチ七・九%、肝臓病四・七%、泌尿器四・二%、腎臓病四・二%、喘息・慢性気管支炎四・二%、貧血三・七%、脳卒中二・八%、骨折等の外傷〇・九%、結核〇・九%、精神性疾患〇・五%、婦人科〇・五%、その他十六・四%となっている。
健康管理上の留意点では、規則正しい生活をする四十四・五%、食生活に気をつける四十二・三%などであり、食生活で特に注意していることでは、規則的に食事をとる四十三・六%、食べすぎない二十七・五%、塩分をとりすぎない二十六・二%などとなっている。成人病の予防・克服の生活意識が横(おう)溢(いつ)していることが推測されよう。