[仮名拾いテスト]

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 認知症の早期発見に応用するテストは幾つかある。前頭葉機能テストとしては、「数字記憶テスト」(数字の復唱、数列を何桁まで繰り返し言えるか)、「動物名・花名想起テスト」、「仮名拾いテスト」などである。これにはそれぞれ一定の時間制限があり、その反応時間をみるものである。他方、大脳後半部の機能をみるための「ミニメンタルテスト」(MMS、簡易知能テスト)がある。これは見当識、つまり受診者が置かれた場所や時間、あるいは、言われて間もない事柄の記憶が残っているかどうかを問うものである。
 
【仮名拾いテスト】
 右の四月十八日付の報道記事でいうのは、最も認知症の現れが顕著な「仮名拾いテスト」だけを実施した結果である。「仮名拾いテスト」とは、平仮名で書かれた物語を読みながら、二分間以内に「あ、い、う、え、お」の五文字を拾い上げ、印を付ける作業をするものである。全文章の中に該当する文字は六十個含まれている。右の四月十八日付記事では、検診者(千二十八人)のうち、年代別の正常平均値は、八十歳代が十九個、七十歳代が二十二個、六十歳代が二十四個であるが、それ以下の人が三百七人いたという。
 年齢別に見ると、文字を拾えず、認知症の症状をみせている者は八十歳代が四十九%、七十歳代が三十一%、六十歳代が十三%である。全く拾えなかった者が約一割いた。他方、囲碁クラブの検診者(二十六人)は全員が平均値を上回っていたことが判明したという。この結果に注目したのは浜松市保健所であり、全市内の六十五歳以上の老人(約四万五千人)を対象に行政レベルで検診をしたいというのである。