[介護から予防へ]

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 昭和六十三年六月二十五日付の『静岡新聞』には認知症の早期発見・早期治療の方針を打ち出し、集団検診へ方向性を定めた行政側の見解が報道されている。
 
【介護 認知症予防】
 浜松市保健所長平出光や浜松市保健環境部長小林吉郎らの、行政としての考えは、介護が中心の認知症対策ではいずれ限界が来る。認知症予防のために早期発見によるリハビリへ転進する必要があり、そのための集団検診の方策を推進させる、というものであった。
 しかし、行政の施策としても、また、医師側の守秘義務の観点からも解決すべき課題がある。すなわち、受入れ体制をいかに整えるかということと、医師側におけるガン告知と同様、認知症告知の問題である。
 
【平出光】
 浜松市保健所保健婦室長石原かずが職務上で接する問題は家庭内の様々な程度の認知症の相談である。浜松市長栗原勝の考えでは、医療・保健・福祉の分野で何が出来るか、その実効性が問われているという。平出光の考えは昭和六十三年度中に市内三カ所のモデル地区を設定し、集団検診に踏み切る。その後に全市へ広げ、公民館などで六十五歳から七十五歳を対象に「仮名拾いテスト」を実施するというものである。集団検診における診断と二次検診は県西部浜松医療センターや浜松医科大学に依頼し、浜松市医師会や市内の他の総合病院に協力を求め、さらに、リハビリ普及のための講座開設、実践講座を開設するというものである。