【集団検診】
平成元年二月十八日付の『静岡新聞』によると、浜松市は新年度から認知症の早期発見のための集団検診を浜松市東地区の老人クラブを対象に行うという。市内で認知症を患う老人の推計数は昭和五十五年時点では二千三百九十九人という。この算出根拠は東京都老人総合研究所によるもので、六十五歳以上の認知症を患う老人の出現率は五・一%。これに基づき浜松市保健所が推定したもの。今後は出現率の高い年齢層が増加することから認知症の発症数は高くなるだろうし、平成十二年には四千人を超えるであろうという。
浜松市が平成元年七月十八日から三日間、船越町の高齢者を対象に認知症の早期発見のための集団検診を実施することを平成元年六月二十九日付『静岡新聞』が報じている。同七月十八日付記事では、船越町の勤労青少年ホームで、対象者六十五歳以上約三百人のうち、百六十一人が申し込んだという。この集団検診では「仮名拾いテスト」と「MMS」(簡易知能テスト)とが実施された。テスト結果はその場で直ちに採点され、県西部浜松医療センター金子満雄副院長による一人ずつの面談があり、結果に基づく生活上の留意点が助言されている。この集団検診の精査作業は、同年九月一日付の『静岡新聞』記事によれば、現在進行中であり、船越町の六十五歳以上の高齢者二百九十一人に対して、受診者百四十三人。受診率は四十九・一%であった。これは他の成人病検診などと比べて高い数字であるという。
右によって今後の方向を考えることになると、平出光保健所長は言う。すなわち、全市に広げるためには浜松市医師会や他の総合病院の協力が不可欠であり、また、結果を恐れる受診拒否者への対応が検討課題になる、と。