[市立高校文芸部の活躍]

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【浜松市立高校文芸部 『ながれ』】
 浜松市立高校文芸部が、全国高等学校文化連盟(高文連)主催の文芸コンクールの文芸誌部門において最優秀賞を受賞したのは、平成三年十二月のことである。コンクールが始まったのは昭和六十一年で、同クラブが初めて応募したのは平成元年(第四回)。この年と翌年と優秀賞を連続受賞、三度目の挑戦で全国第一位となったものである。受賞誌は文芸部誌『ながれ』40号(A5判、百七十頁)。内容を見ると、40号ということで記念号となっており、小説、詩、俳句・短歌、随筆・評論、小品、感想文のほか四つの特集が組まれている。その中の「Ⅰ風景(特別寄稿)…楠田芳子(旧制三十八回卒)」の寄稿者楠田芳子は浜松出身の映画監督木下恵介の妹で著名なシナリオライター。同高の前身である旧制高等女学校時代の卒業生である。「Ⅲ『ながれ』の流れ(40号までの歩み)、『ながれ』40号までの足跡一覧」は顧問の執筆で、同誌の歴史が四期に分けられ、十四頁にわたってまとめられている。同誌の受賞は、部員の努力のほか、多くの学校関係者と地域の後援によって得られた結果であった。同誌はその後も最優秀賞を三回(平成五・七・八年)、合計四回受賞している。
 
【『いずみ』】
 ところで、同校には教職員による同人誌『いずみ』があった。高校教育の職場での同人誌というのは珍しい存在ではなかったかと思われるので一べつしておきたい。創刊号は昭和五十五年十月二十五日発行。A5判、四十頁。小説、俳句、アフォリズム、短歌、漢詩、随筆・他の六つのジャンルに分けられ、十一名の寄稿がある。同誌の発行は一年に一回ずつ、平成十一年まで二十年間続けられ第二十号をもって終刊となっている。
 『ながれ』の健闘も『いずみ』の存続も、ともに浜松市立高校の良き伝統の上に学校関係者や地域の人々の温かい理解に支えられてはじめて実現することの出来た実績であった。

図3-56 『ながれ』40号