昭和三十六年七月の浜松市民会館の完成は、浜松市の文化活動を活性化する上で一つの大きな刺激となったと見られるが、その現れの一つとして音楽の鑑賞団体の誕生を上げることが出来る。
【浜松音楽愛好者協議会】
クラシック音楽鑑賞団体の浜松音楽愛好者協議会(はまおん)が発足したのは、昭和五十年一月のことである。ただし、この会の前身は浜松勤労者音楽協議会(労音)と言い、もともとは労働組合の文化活動の一環として生まれたものであった。その第一回のコンサートとして、辻久子ヴァイオリンリサイタルの開かれたのは、昭和三十六年七月二十七日のことである。労音の時代には、クラシック以外のステージの企画もあったが、はまおんの時代になってからはクラシック中心の企画となり、クラシックファンの裾野拡大に努めてきた。労音設立後三十一年目の平成四年、はまおんは公演四百回を数えている。こうして、はまおんは、浜松市の音楽の街づくりを支えてきたのであるが、次第に会員数の減少という悩みを抱えることとなる。ピーク時の会員数(労音時代、ピーク時の会員数は一万人)は三千人を超えていたのが次第に少なくなり、二百人台にまで落ち込み、平成十一年七月ついに解散となった。
【遠州文化連盟 民主音楽協会】
労音の活動以外について触れておくと、各地で労音が結成され始めると、経営者側からはこれに対抗した音楽鑑賞団体をつくる動きが出てきた。浜松でも遠州経営者協会が昭和四十二年四月から遠州文化連盟(遠文連)を発足させ、各事業所ごとに会員を募った。遠文連は音楽だけでなく、演劇や講演会など幅広い分野にも手を広げ、結成一年で四千名を超える会員を擁した。以後、順調な発展を遂げたが、平成十三年にその活動を終え、前年に設立されたエンボスに引き継がれた。一方、創価学会の池田大作会長も音楽文化活動に関心を寄せ、各地に民主音楽協会(民音)を結成、その静岡支部での活動が浜松でも昭和三十九年十一月から始まり、平成十六年現在も音楽や京劇など多くの催しをしている。このほかにも音楽鑑賞団体がいくつか出来た。