浜松駅北口広場を会場に、第一回浜松プロムナードコンサートが開催されたのは、昭和五十九年四月十四日のことである。これは、浜松市が企業や高校の吹奏楽団の全面的なバックアップを受けて開催を決めた青空定期コンサートであった。浜松市が、楽器のまちから音楽のまちへ飛躍を目指す努力の一つの現れであることは言うまでもないが、前項で見たように吹奏楽団が全国的に盛んで、しかも浜松地方が全国のトップレベルを誇る水準にあったことも背景にあると思われる。開催までのいきさつを、翌日の『静岡新聞』(四月十五日付の記事)は、中部航空音楽隊が、前年から浜松駅北口広場で演奏会を開いたところ好評で、それをきっかけに浜松市吹奏楽連盟を中心とする音楽関係者が市へ働き掛け開催が実現したと伝えている。発足当時の参加団体は、浜松商高、浜松工高、中部航空音楽隊、浜松市消防音楽隊、ヤマハ吹奏楽団、河合楽器吹奏楽団の六団体であった。コンサートは翌年三月までの一年間に十七回の開催を予定して出発した。
コンサートのその後であるが、昭和六十一年に浜松市文化協会が設立されると同協会中心に、平成十七年に浜松市文化振興財団が設立されると同財団と浜松市吹奏楽連盟の主管(主催は、浜松市教育委員会)となった。出演団体は、浜松市吹奏楽連盟に加盟している団体とされ、スタートの当時に比べてその数は格段に増えている。小・中・高校・大学のほか、社会人の団体も参加しており、平成二十四年度の場合その数は七十団体以上である。ただし、中部航空音楽隊は市の吹奏楽連盟に加入していないので平成二十四年現在では出演していない。月に三回程度土曜日の午後三時からの開催で、一回に三団体出演というのが基本である。開催場所は、浜松駅北口広場(キタラ)中心だが、年に二回、なゆた・浜北まちなかコンサートとして浜北駅前広場でも開かれている。音楽を愛好する市民の発表の場として、また一般市民が気軽に音楽に触れ楽しむ場として、コンサートは浜松市民の間に確実に定着している。
図3-61 プロムナードコンサート